『「石」 「金」 「土」 − 多様な素材の中で − 』　金沢美術工芸大学×東京藝術大学

近年の彫刻表現は、従来の石彫、木彫、塑像、金属といった枠にとらわれず、映像やパフォーマンスもその一つとして多種多様な媒体を介して行われている。彫刻表現において素材が氾濫する中で、今一度 「彫刻表現における素材とは何か」 を考察し、その見解を示す必要がある。本展覧会では 『「石」 「金」 「土」 − 多様な素材の中で − 』 と題して、古くから彫刻素材として用いられている　「石」 「金属」 「土」 の現代における表現の可能性を模索する。金沢美術工芸大学の浜田周准教授の推薦により同大学彫刻専攻大学院生３名、東京藝術大学美術学部彫刻科の林武史教授の推薦により同大学彫刻科大学院生３名が作品を展開する。

企画 ： 金沢美術工芸大学彫刻専攻　浜田周研究室
協力 ： 東京藝術大学美術学部彫刻科

【金沢美術工芸大学】
小孫ちさと
石を使って彫刻を作るなかで、素材を始めて見た時の印象を大切に制作している。その中で、自分の持つ感情から生まれてくる形は優しさという安心感のある形である。その形を作ることによって、自分の彫刻を作る意味を考えていく。

川野昌通
金属を叩く・曲げる・切る・付けるなど手探りしていく内に、ふとその工程が嵌る瞬間や反対に拒絶されるような瞬間がある。それを自分の中で選別しながら次の働きかけを繰り返すことで、素材の持っている特性や可能性を見出していく。

村田優大
「形あるものいずれは壊れる」 といったように、この世界のモノは、常に移ろい、日々変化していく。そこで私は、元々形のない 「土」 を用いて形を作ることで、日々の変化に実感を伴わせたい。私の身体を介しながら、積みあがった 「土」 は私の実感の現れでもあるだろう。

【東京藝術大学】
植松美月
私は私という個人の存在を確認するために制作を行っています。鉄を溶断で切り出していくことは、鉄と身体が長い時間をかけて関わることを意味し、時間の経過を伴った身体性を表しています。

常見龍太郎
線香の煙と貝殻を組み合わせた作品を制作している。輪積みという技法を用い、貝殻が成長するように、少しずつ粘土を足し成形する。火葬と焼成、遺骨と素焼きの作品、レントゲン撮影、空気や水の動き方などに関心がある。

福島李子
脳内に浮かんでいる感覚やイメージ、感情、記憶…曖昧で儚く実在しないもの。それらを 「石」 という硬く強くそして美しい素材を用い、脳内感覚と身体感覚をすり合わせ、自分自身の彫刻について考える。